エホバ神は、聖書の中で一貫して血を体内に取り入れないようにと命じておられます。
ノアの大洪水後、肉を食べることは許されましたが、血を食べることは禁じられました。(創世記9:3,4)その禁令はモーセの律法の中で、繰り返されています。(レビ7:26。申命記12:16)そして、一世紀においても、エルサレム会衆の長老たちは、血を避けるように仲間の信者に手紙で指示を与えました。(使徒15:28,29)
エホバ神は、人を「益すること」を教えてくださいます。(48:17)それでは、無血性の血漿増量剤もあるのに、血液を輸血することが必要なのでしょうか。
Emperor Akihito cropped 2 Barack Obama Emperor Akihito and Empress Michiko 20140424 1 State Department photo by William Ng / Public domain(emperor1)
天皇陛下は東京大学医学部附属病院 で無輸血の心臓手術を受けられました
【輸血が行われている目的】
輸血は必要なのでしょうか。輸血が行われるのは、ひとつには、失われた血液量の補充にあります。十分な量の血液量がなければ、血液が体内を循環しないからです。しかし、血液量を増やすためには、無血性の血漿増量剤で、その目的を果たすことができます。
また、輸血が行われる別の目的は、赤血球のヘモグロビンによって体内に酸素を運搬するためだとみなされています。ところが、保存されクエン酸に浸された血液は、酸素運搬の能力は十分ないという情報があります。
これは、エホバの証人の出版物からの情報ですが、アネステージャ誌anesthesia の論説欄にこのように記載されているそうです。
「保存され,クエン酸に浸された赤血球中のヘモグロビンは,輸血後約24時間たつまでは,体組織に酸素を運ぶことには十分に役立たない,という点も銘記しておくべきである。……したがって,急いで行なう輸血は,主として,初期段階における液量拡張にすぎないものとみなすべきである」。
オハイオ州立大学の研究者たちの調査結果によると,10日以上保存された血液は,「輸血直後の酸素運搬には役立たず,むしろそれを悪化させることさえ」あります。それは、保存血液内に生じる化学変化がその理由となっていることが分かったそうです。
しかし、残念ながらこの情報は、アメリカ発の英文の情報だと思いますが、ネットで、この情報がどこの雑誌に掲載されているのかは確認できませんでした。この情報によると、輸血はほとんど液量拡張の働きしかしていません。
しかし、血液学と言う医学の分野に関してはおそらくエホバの証人の数の多いアメリカの方が進んでいると考えられます。英文の医学の文献を日本語に訳すことが望まれます。
【どのくらい低いヘモグロビン値を人間は耐えられるのか】
「輸血の技術」1982年にはこう述べられています。「ある権威者たちは,ヘモグロビンの量が100cc中2ないし2.5グラムまで下がっても受け入れられる,と{述べている。……健康な人なら,赤血球細胞全体の50%を失っても耐えることができ,失血が幾らかの期間にわたって生じるなら,ほとんど全く症状は現われない」
ヘモグロビンチの値が10グラムを下回ると輸血が行われ、6グラムを下回ると輸血は必須だと考えられています。しかし、血液のヘモグロビンの値は、従来考えられていたよりも非常に低い数値でも、人間は耐えることができます。
さらに、ネットには、このことを裏付ける情報があります。A・J・シャドマン博士なる人物が、二万例以上の外科手術を輸血しないで、患者に普通の食塩水を多く飲ますことによって行ってきましたが死亡例は一つもなかったという情報が流れています。チョークのように血の気が失せても、患者は生きのびてきました。
この情報はエホバの証人の出版物に1960年代に掲載されたもののようです。おそらく、アメリカの高名な外科医によるものだと考えられますが、その人がアメリカのどこの病院でそのような事例を積み上げたのか詳細は、ネットで確認できませんでした。
一応、アメリカのシアトルにシャドマン博士と言う血液学者が存在します。その方は、A・J・シャドマン博士の子供か親戚ではないかとも思いましたが、それ以上は確認できませんでした。
ですから、無害な血漿増量剤で、血液量を増やして、体中に血液を循環させさえすれば、人間は生きのびることができるのです。そのためには、おそらく、点滴だけでなく、経口補給でも構わないのでしょう。そして、それは生理食塩水でもおそらくいいのでしょう。
このA・J・シャドマン博士の経験の詳細を日本語で確認したいものです。確認できたら、また詳細をお知らせします。
【エリスロポエチンと鉄剤】
さらに、患者の赤血球を増やすために、エリスロポエチンという薬剤や鉄剤を用いることができます。「輸血に代わるエリスロポエチン」という題の記事が、スウェーデンの医学誌「ラカルティニンゲン」に掲載されました。
その内容は次のようなものでした。「エホバの証人で35歳のある女性は,出産に当たって急激な大量出血を見た。患者は輸血を拒否したが,エリスロポエチン療法を受け入れた。エリスロポエチンを大量に投与する術後の治療を始めてから9日後に,ヘモグロビンは1デシリットル当たり2.9から8.2に上昇した。副作用はなかった」。
その記事は結びに,「患者は当初かなり衰弱していたが,驚くほど急速に回復した。しかも,術後の合併症は全く見られなかった。患者は2週間後に退院した」と述べていました。
鉄欠乏性貧血で、治療のための鉄剤投与の場合は、造血効果が、早い場合は4、5日程度で出てくる場合もあるとネットにありました。また、エリスロポエチンという薬剤の場合は、さきほどの例とは違って、効果は非常に早く一日二日というレベルで効果が出てくると言われています。ですから、緊急の場合も、エリスロポエチンは効果があるでしょう。
それで、血漿増量剤の代わりに血液を使う理由はないでしょう。また、人は従来考えられているよりも、非常に低いヘモグロビン値に耐えることができるのであり、とりわけ輸血をする必要性はないと言えます。また、エリスロポエチンなどの赤血球を早く生成させる薬もあるのですから、病気の感染の危険の高い輸血をする必要性はさらにないと言えます。
次回は、輸血で感染する病気は医学の発展によって阻止されているかという点を検討してみたいと考えています。

