ダニエル7章によると、ダニエルは幻を見ました。その幻は、聖なる者たちが王国を受ける時がどの時期になるかを示す預言でした。(ダニエル7:18,22)イエスはご自分の弟子たちが王国を受けることを予告されていました。(マタイ5:3)ダニエル7章はその時期を示していました。
ダニエルの幻の中で登場する四つの獣は、神の王国が成立するに至るまでの主な世界強国を表していました。幻の中で四つの獣が海から上がってきました。一つ目の獣はライオンのようでしたが、人間の心が与えられました。(ダニエル7:4)二番目の獣は熊に似ていました。(ダニエル7:5)三番目の獣は、ひょうに似ていました。(ダニエル7:6)
四番目の獣は恐ろしく、際立って強い獣で、その頭に十本の角がありました。(ダニエル7:7)しかし、その十本の角の間に別の小さな角が生えてきました。(ダニエル7:8)
幻の中に登場する一人の人が、その説明をします。その人は「これらの巨大な獣について言えば、・・・地から立ち上がる四人の王がいる」と言いました。(ダニエル7:17)それで、その獣は王すなわち政権、もしくは政治国家を表しています。
ダニエルは、以前にも世界強国の興亡についての預言を与えられました。(ダニエル2:32)ダニエルは、ダニエル7章で類似の預言を与えられて、その預言に関連してさらに深い洞察が与えられたと考えるのが妥当です。
確かに、バビロンのネブカドネザルは、最初はライオンのように周辺の諸国家を攻撃しましたが、ダニエルを通して幾度も預言の説明を受けました。そして、王自身、牛のように卑しめられ、その後人間の王国の支配者がエホバであることを認めて後、王としての栄光を再び与えられるという経験をしました。(ダニエル4:34,36,37)
それで、ネブカドネザルは、最初はライオンのようでしたが、預言の説明と自らの経験を通して聖書の神が真の神であることを認めるようになりました。(ダニエル7:4)
聖書は動物が理性がないと述べていますが、,ネブカドネザルは一時的に獣の心を与えられました。(ダニエル4:16。ユダ10)一方聖書は人が理性を持っていると述べていますが、彼は神が支配者であることを認めるようになり、いわば、「人間の心」を与えられました。(ローマ10:1;12:1。ペテロ第二2:12)
次に、メディア・ペルシャを表す熊のような獣は一方の側が起こされました。(ダニエル7:5)メディア・ペルシャ二重王国は、ペルシャの方が後になって優勢になり、一方が起こされました。
そして、ペルシャは、「三本のあばら骨」が、「起き上がって多くの肉を食らう」ことになっていました。(ダニエル7:5)ダニエル11章2節によると、ペルシャにさらに「三人の王」が立つことが預言されています。
聖書によるとメディア人ダリウスの後に、アルタクセルクセス、ダリウス、アハシュエロスが支配しました。(エズラ4:7;4:5,24。エステル1:1
)これらが、メディア人ダリウスの後になおペルシャに立つ三人の王、つまり、三本のあばら骨を表わしているのでしょう。
聖書の中で何かの実体について言及している場合、聖書の他の書も可能な限り同じようにその実体について言及していると考えられるからです。
三番目の獣は、ギリシャです。ギリシャのアレクサンドロス大王はひょうのように敏速に諸国家を征服しました。(ダニエル7:6)そして、その後、ひょうの四つの頭に支配権が与えられました。(ダニエル7:6)預言通り、アレクサンドロスの王国は、四つに分裂しました。
そして、四番目の獣は恐ろしく際立って強く、鉄の歯があって全地をむさぼり食いました。(ダニエル7:7,23)四番目の獣の十本の角は、「その王国から起こり立つ十人の王」です。(ダニエル7:24)その獣は、軍事国家であったローマ帝国とその後継国を表していました。十本の角は、ローマ帝国から派生したヨーロッパのさまざまな国を表していました。
だにえるだに ダニエルが見た四つの獣はバビロン・メディアペルシャ・ギリシャ・ローマとその後継国を表していました
そして、ローマ帝国の一部であったイギリス、フランス、スペイン、ポルトガルなどがアメリカに植民して、米国が誕生しました。ですから、米国は確かにローマ帝国の後継国の一つであると言えます。
それで、四番目の獣の頭に後になって生えてきた小さなものとは、米国のことです。(ダニエル7:8)聖書は米国を南の王であり、大いなるバビロンであると描写しており、北の王の三度の攻撃で、滅びてしまうことを預言しています。
ローマ帝国の後継国の内後に生えてきた一本の角は米国です
その小さな角には、人の目と口があります。(ダニエル7:8)人の目は神の目と違います。(ヨブ10:4)つまり、人の見方は神の見方と違います。人は一般的に、自分の道をどれも廉直であると考えがちです。(箴言16:2;21:2)ですから、小さな角は自分のやり方をいつも正しいと考えがちかもしれません。
四番目の獣の一本の小さな角に人の目がありました
小さな角には物質主義的な傾向があり自分のやり方を正しいと考える傾向があるでしょう
また、聖書は「人の目」は「満ち足りることがない」と述べています。(箴言27:20)それで、小さな角は、どこまでも利益を追求する物質主義的な傾向があるでしょう。
小さな角の口は、大仰なことを語ると言われています。(ダニエル7:8,11)そして、小さな角は聖なる者たちに戦いをしかけます。(ダニエル7:21)
それで、ダニエル2章の王の見た像は、バビロン、メディア・ペルシャ、ギリシャ、ローマとそれから派生した米国を含む諸国家を表しており、最後の足の部分は、米国にとって代わる北の王の王国を表していたと考えられます。
ですから、ダニエル7章で見た四つの獣も、最初からバビロン、メディア・ペルシャ、ギリシャ、そしてローマとそれから派生した米国を含む諸国家を表していたと考えられます。
そして、燃える火に投げ込まれる小さな角は、南の王、大いなるバビロンを表していると考えられます。(ダニエル7:11)そして、小さな角の滅びの後にもしばらくの間存続することを許される「残りの獣たち」は、米国以外のローマ帝国の後継国、また、バビロン、メディア・ペルシャ、ギリシャの後継国を意味しているのかもしれません。(ダニエル7:12)それには、南の王にとって代わる北の王の国も含まれているでしょう。
そして、小さな角の前に三本の角が「引き抜かれ」ます。(ダニエル7:8)つまり、「別の者」は「三人の王」を「辱め」ます。(ダニエル7:24)確かに第二次世界大戦の時、ローマ帝国の後継国のうち、ドイツとイタリアは、すでに米国に敗北し辱められています。しかし、預言はさらに成就するでしょう。
もし、二本の角がすでに辱められたと解釈するならば、さらに辱められる一本の角があります。こうした預言を考えるならば、ドイツにしても、イタリアにしても、また他のヨーロッパ諸国についても、小さな角、米国と良い平和な関係を結ぶよう努力を払って、さらに辱められないようにするのが得策だと思います。
しかしながら、米国と平和な関係を結ぶといっても、最初の北の王の南の王に対する攻撃は成功し、南の王の側は非常に多くの犠牲者が出ることになっているので、米国と一緒に北の王に対して戦争をするならば、非常に大きなダメージを受けることになるでしょう。(ダニエル11:25,26)